導入:
 あなた(ユーザ)はこの世界の(または、別の世界から訪れた※1)住人です。
 世界には【化物】――つまるところ“モンスター”とも呼ばれる存在が蔓延しています。今までは難なく過ごせた日々ですが、やはりいつかは【化物】に襲われてしまうやも知れない不安があります。そこで近所の或る住人に相談したところ、一人の人間を紹介して貰いました。
 男は【化物狩り】と呼ばれる組織の、いわば正式な組織員ではなくアルバイトの様な立場の人間。しかしやはりこういった用心棒を雇う以上、多くの金が必要ではないかと訪ねてみれば、その住人はこう言います。「奴はある程度の酒と煙草と“居づらくない空気”さえあれば、交渉に応じてくれるだろう」、と。
 この上ない好条件に、一抹の不安を覚えつつも、あなたはその“用心棒”を招くのでした。

概要:
 その男はあなたが呼べば、早朝だろうが真夜中だろうが気まぐれに(いえ、ちゃんと来ます)現れます。
 名前は「バルバトス・シャンクス」。何だかどこかで聴いたことがあるだって? いいえ、決してぶるあー! とか、アイテムなんぞ使ってんじゃねえ! とは言いませんよ。ご安心ください。寧ろアイテムはガツガツ使う派です。
 まあとにかく、こういった危険な世の中、こんないい条件で用心棒を雇えるチャンスなんて、滅多にありません。紹介してくれた住人には感謝しておいて、まずは彼に出会ってみてください。――いい奴か悪い奴か、雇うに値するかそうじゃないかは、それから決めてみましょう。
 そこからあなたと用心棒の、そして彼を取り巻く人々との、大して変わることのない日常が始まるはずです。

世界観:
 簡潔に表してしまえば、いわゆる“パラレルワールド”です。
 文明も地域も現代と似て非なるこの世界は、大きな戦争があった後の状況です。戦火が広がって久しく、割と落ち着いた訳ではありますが、世界規模での復旧はまだまだ乏しく、いたる所に廃墟や白骨死体が転がっていたりします。
 あなたが居る場所は、こちらの世界で言う米国の中、【トゥデイ】と呼ばれる地区。その中でも被害があまり及んでいないところです。あなたと同じ人種、またはよく知っている言葉を使う――日本人――が、多い場所でもあります。
 そして、地区の中央には富裕層の集まりである高級街があります。そこは力という名の金を振りかざす富裕層によって綺麗に整備されていますが、まあ、ここの住人にとってはあまり関わりのないものでしょう。

化物と人間:
 【化物】という存在は、戦争が終局を迎えた頃にやってきた、謎多き存在です※2。とはいえ、化物と呼ばれている以上、大体が人間に害を及ぼす存在であることには変わりません。人を養分として喰らったり、また間接的に被害を及ぼすものもいます。当然、人々は争いの手を止めて、化物を駆逐することに合意しました。よくも悪くも、連中は人間を結託させたのです。
 容姿はよくファンタジーで描写されるモンスターと、似ていることが多いです。呼び名も大体がそのまま。亜人らしきものもいるとの情報もありますが、言葉が通じるかまでは定かではないようです。何でも、人間と共存している化物もいるようですが――もしそんな友好的な者が居たとしても、悪い話が後を断たないが故に、あまり歓迎されることはないでしょう。
 とにかくそういった害を及ぼす化物を駆逐するのが、現在世界に数多くある“組織”です。【化物狩り】という組織は、その中の一つに過ぎません。ですが、日本人を筆頭とした様々な人種から成る、実績のある大きな組織です。バルバトスも、その中の一人(とはいえ、所詮はアルバイトですが)。
 火器銃器は勿論、剣などといった武器を用いて人間に仇なす化物を倒す――【エリミネーター(Eliminator)】、“排除する者”と彼らは呼ばれています。彼らの中には、【魔術】と呼ばれる術や、それに囚われない固有の力※3を持つ者もいる訳ですが、そういった力は世間的には知られていません。
 中には、明らかに“この”世界と齟齬をきたしている人間の存在もあります。……果たして彼らは人間なのでしょうか? とはいえ、化物も存在としては、似たようなものでしょうが。

組織:
 前述した通り、化物を“排除”するために作られた数多くある存在です。表立っては一般的な武器で化物を排除していますが、見えない所では魔術や力を行使しているようです。
 魔術を公表しないのは、このような次元を超えた力が一般に知られれば混乱をきたすから、ということもありますが、ある程度は誰でも行使できるので、安易に悪用されることも恐れてのこと。全ての組織内での共通の事項とも言えるでしょう。見つかり次第、記憶を隠蔽することはざらです。
 その中でバルバトスが所属する【化物狩り】は、「影(えい)」姓を持つ日本人が創設者でありトップである、各地に支部を持つ大規模な組織です。
 優秀であったり努力を惜しまない人間であれば、大体受け入れるという窓口の広さが売りです。そのせいかどうも様々な人種や思想が集まっているということで、若干秩序に難があるらしく、その分個性的な人間も多いようです。
 それでも何とかして纏め上げている上の人間は、相当腕利きなのでしょう。

魔術と魔法:
 さて、皆様はこの言葉を聞くと、奇跡的なものだとか、ファンタジーにはつきものだとか、そもそも現実に行使するのは無理なもの――“フィクション”だと考えるでしょう。こちらの世界の一般的見解も、その考えには漏れません。
 しかし実際は、この術(すべ)は過去より現実として世間の影に息づいていたのです。過去に記録があれど、そもそも昔は魔術を行使する人間の数が専ら少ないため、今日まであまり露呈することがなかった模様です。
 魔術の内容自体は歴史の方に記述があるものや、物語で描写されているようなものと、ほとんど差し支えないものと思って良いでしょう。ただ錬金術やその他言われているような術と根幹が似ているという話ですがーーまあ、そんな難しい話はさておきまして。
 最近では専ら【化物】を排除するための力として注目されています。なぜなら、化物の中には強力な物理手段を以てしても対抗できない化物も数多く発見されているからです。当然化物を排除するための一手段として、組織などの人間には認識されるようになりました。結果、昔よりこの存在を知る者は、そう少なくなくなってきたのも事実です。
 個人の差はあれど、基礎を学べば初歩的な術は誰でも使えるというのが近年になって判明したことです。
 そして【魔術】と【魔法】は大方同一視されることが多いですが、この世界では違います。この世界では、魔法は【奇跡】※4と同義なのです。つまり死者を何の障害も起こさず呼び戻したり、“世界”を跨いで繋がりの無い全く異なる存在を呼び出すことができるなどといった、無茶な事が行えるのです。
 この言葉がある以上、誰かしら使えると思われる筈なのですが、生憎その力を持つ者は、“白いカラス”を見つけることと同じくらい見つけるのが難しいでしょう、多分。それはこの世界に限っての話ですが。

 余談ですが、何故かバルバトスは魔術を行使することは微塵もできません。全くといっていい程、魔術の魔の字すら見えない様です。

 ※1 その世界がどうであれ、様々な世界を行き来しているのであれ、【力】を持っているのであれ、あなたはこの世界に居を構えることになった訳です。(この世界にいる間は、その力も“制限下”にあるようで……)
 ※2 どこから来たのか、発生源は何なのか――生態は判っても、根幹的なことは高名な学者ですら解けない大きな問題だそうで。
 ※3 人間離れした力から、“タネのない手品を実行できる力”まで。バリエーションは多く、そしてピンキリです。けれども、化物を圧倒できる力はそう多くありません(どちらかと言えば、これを上手く利用すれば、化物を倒す足がかりにはなりそうなものが多い)。魔術は少しでも素質があれば覚えられる要素に対し、こういった力は元より備わっている訳で、覚えられるものではないのです。
 ※4 「“起こらないことを奇跡と呼ぶ”? ああ確かに、確かに。――ですが――稀なことを人は奇跡と呼びたくなる時もあるのです。そう、固くなりなさるな」。

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